
UIは「操作対象」から「環境」へ。2Dの制約を超え、Apple Vision Proが提示する「UIの実体化」という設計思想

UXデザイン部
#XR
#クリエイティブ
「画面」をデザインする時代から、体験を『環境』として構築する時代へ。
普段はピクセルとグリッドの世界、いわゆる「ブラウザの枠内」でUIデザインをしている私が、今回初めて Apple Vision Pro(visionOS) のUI制作に挑戦しました。実際に手を動かして試行錯誤を繰り返す中で見えてきたのは、2Dのデザインの常識とは一線を画す決定的な違いがありました。空間コンピューティングにおけるUIデザインの本質や、今後のビジネス設計への応用可能性について、クリエイティブの現場視点から詳しく考察してみたいと思います。
空間コンピューティングとは何か?
空間コンピューティングの本質は、ディスプレイという境界を消失させ、現実世界そのものをキャンバス化する点にあります。 従来のWEBデザインが、ユーザーに画面という「窓」を覗かせる体験であったのに対し、空間コンピューティングは、ユーザーが情報空間の「内部に存在する」状態を創出します。デジタルオブジェクトが物理環境の光や影の影響を受けるこの環境では、情報の配置は単なるレイアウトではなく、空間における実体化としての意思決定が求められます。
次世代UI設計における「4つの構造的転換」
制作プロセスを通じて抽出した、従来の2Dのデザインからアップデートすべき設計上の洞察を整理します。
1. 「背景色」から「環境との調和」へ
visionOSではグラスモーフィズム(Glassmorphism)が標準となります。背景は固定のカラーコードではなく、ユーザーの可変的な現実環境そのものです。
UIは背後の景色を透過させるため、動的なコントラスト制御が不可欠です。あらゆる環境下での視認性を担保するためには、Appleのシステムフォントやビブラシー(鮮明度)設定を、静的なデザインシステムではなく動的なルールとして再定義する必要があります。

2. 「加法混色」を前提とした光のモデリング
空間UIにおける最大の技術的差異は、黒(暗色)の扱い方です。
Vision Proのディスプレイ特性上、黒は発光オフを意味し、現実が透けて見えてしまいます。そのため、空間UIでは「色を塗る」のではなく「光を配置する」感覚でのアプローチが正解となります。
文字やアイコンには #FFF(白)を基調とし、階層構造は不透明度の変化で制御します。これにより、ユーザーの環境が明暗どちらの状態でも、一貫したユーザビリティを維持するデザインシステムの構築が可能です。
以下の比較表にまとめました。

3. 視線と身体性によるインタラクション設計
WEBではマウス、スマホでは指ですが、Vision Proは視線(Eye-tracking)で要素を選択します。視線による選択ミスを防ぐため、タップターゲットは最小60pt以上を確保し、要素間に適切な余白を設けるといった物理的な制約を逆手に取った設計が求められます。視線が合った瞬間に要素が微細に発光するフィードバックは、ユーザーの意思とシステムを直感的に接続させる、極めて高度なインタラクション設計の要となります。
4. Z軸(奥行き)による情報階層の構築
2Dにおいて存在したレイヤー構造は、空間においては物理的な距離へと置換されます。「今、注視すべき情報を手前に、参照情報をその背後に」という、現実の視界に近い直感的な情報の取捨選択が可能になります。
こうした空間における最適な情報設計は、私たちがこれまで手掛けてきたXR・ARプロジェクトでも一貫して追求してきたテーマです。今回のデザインの土台となった、実務への応用可能性を感じていただける事例や解説記事もぜひ併せてご覧ください。
[PROJECT] TOYOTA Designlab
https://www.d2cid.co.jp/projects/toyota-designlab/
[BLOG] ARグラスとは?スマートグラスとの違いや最新活用事例を解説
https://www.d2cid.co.jp/blog/ar-glasses/
D2Cがリードする、次世代の顧客体験設計
Figma上でパーツを構築し、Vision Proの実機を通じて「図形」から「実体のあるオブジェクト」へと昇華した瞬間、体験設計の領域が大幅に拡張されます。これまで2Dのデザイナーが培ってきた、タイポグラフィの美学や、情報の階層構造、ユーザーフローの最適化などといった専門知見は、空間コンピューティングという新しいキャンバスにおいて、より高度な次元で機能しています。
私たちD2Cのクリエイティブは、画面の制作にとどまりません。デバイスが2Dから3Dへと広がる中でも、クライアントのビジネス価値をどのように空間へ定着させ、ユーザーに驚き以上の価値を提供できるか。この新しい技術的パラダイムを、確かなロジックとクリエイティブで、クライアントの皆様とともに形にしていくプロフェッショナル集団であり続けたいと考えています。
次世代のインターフェース設計、そして空間における新しい顧客体験の構築を、私たちとともに切り拓いていきませんか。
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UXデザイン部
Webやアプリから紙媒体まで、幅広いアウトプットに対応。ユーザー視点を軸に、伝わる・使いやすい体験を設計します。

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